演目の紹介 (演目名をクリックすると、解説が表示されます。)












演目のあらすじ

一、五方礼始 (ごほうれいし)

神楽を奉納するに当たり五方(東、南、中央、西、北)を清める舞です。陰陽五行説(おんようごぎょうせつ)に従って東は木の神で青色、南は火の神で赤色、中央は土の神で黄色、西は金の神で白色、北は水の神で黒色で現されています。日本の神話によれば天地の創生と神々の生成を題材としたものであります。

 

 

一、天瓊矛(あまのぬぼこ)随神(ずいしん)) 

伊邪那岐尊(いざなぎのみこと)伊邪那美尊(いざなみのみこと)(あま)浮橋(うきはし)に立ち、天瓊矛で海をかき回し、自凝島(おのころじま)を造ったという舞です。

 

一、平国(へいこく)

伊邪那岐尊(いざなぎのみこと)が御子である火の神、加具都智神(かくづちのかみ)をお斬りになった時、太刀先より血が石の上にほとばしり流れ、岩裂神(いわさくのかみ)根裂神(ねさくのかみ)岩筒男神(いわつつおのかみ)経津主神(ふつぬしのかみ)がお生まれになり、各神の荒魂(あらたま)を鎮める形の舞です。

 

一、舞入(まいいれ)

伊邪那岐尊(いざなぎのみこと)伊邪那美尊(いざなみのみこと)が、天照大神(あまてらすおおみかみ)月読之尊(つくよみのみこと)素戔嗚尊(すさのおのみこと)をお産みになり、自凝島(おのころじま)にお隠れになるという舞です。

 

一、誓約(うけい) 

天照大神(あまてらすおおみかみ)が、十握剣(とつかのつるぎ)を折られて三柱の女神がお生まれになり、素戔嗚尊(すさのおのみこと)五百箇御統(いほつみすまる)(たま)を噛まれて、五柱の男神がお生まれになった。この誓約で素戔嗚尊が男神をお生みになったので、心の清い事が明らかになったという神話の舞です。


一、綱之神(つなのしん)

日本の神話による高天原(たかまがはら)で、天照大神(あまてらすおおみかみ)忌服屋(いみはたや)で神の衣を織っている様を見て、素戔嗚尊(すさのおのみこと)が馬の皮を生はぎにして、天上から投げ入れるなど、悪行をするので八百萬(やおよろず)の神々が木綿を取って素戔嗚尊を縛ろうとする勇壮な舞です。

 

 

一、戸開(とびらき)

古事記の「(あま)岩戸(いわと)」、日本書紀の「磐戸(いわと)」を題材とした舞である。 天照大神(あまてらすおおみかみ)が、弟神素戔嗚尊(すさのおのみこと)の所業に激怒し、天の岩戸に隠れたことか ら世の中が暗闇になってしまった。そこで、八百萬(やおよろず)神々(かみがみ)(あま)安河原(やすかわら)に集い、五部神(ごぶしん)を中心に打開策を協議した。その結果、思兼神(おもいかねのかみ)が深く(はか)り、手力雄命(たぢからおのみこと)を岩戸の(そば)に立たせ、天児屋根命(あまのこやねのみこと)太玉命(ふとだまのみこと)が、(さかき)の上枝に勾玉(まがたま)、中枝に八咫鏡(やたのかがみ)、下枝に青、白の和幣(にぎて)をかけ、祈祷(きとう)奏上(そうじょう)し、天鈿女命(あめのうずめのみこと)が岩戸の前で覆槽(うかぶね)を踏み響かせて神懸(かみがか)りをした。すると、その(さま)を、天照大神が岩戸を細開きにして、のぞきみしたので、岩戸を押し開け、天照大神を連れ出したという舞です。

 

一、柴引(しばひき)  

(あま)岩戸開(いわとびら)きを祈って、天児屋根命(あまのこやねのみこと)太玉命(ふとだまのみこと)八坂瓊(やさかに)勾玉(まがたま)八咫(やた)(かがみ)真榊(まさかき)に掛け、岩戸の前に奉納するため、天香具山(あまのかぐやま)の真榊を根こそぎにするという神話を題材とした勇壮な舞です。

一、庭火(にわび) 

天の岩戸の前で、天鈿女命(あめのうずめのみこと)が踊るときに、庭火(かがり火)をもって()く形の舞です。

 

一、神逐(かみやらい)

天照大神(あまてらすおおみかみ)が、弟神である素戔嗚尊(すさのおのみこと)の悪行に腹を立てて、天の岩戸にお隠れになり、世の中が暗闇になったので、八百萬(やおよろず)の神々が集まり相談して、天の岩戸開きを行って天照大神を連れ出すと共に、悪行の悪い素戔嗚尊を高天原から()(くに)に追放するという物語を題材としたものです。 剛毅(ごうき)な素戔嗚尊が神々を相手に攻め合うが、ついに力尽きて、根の国へ落ちて行く勇壮な舞です。

 

一、岩戸舞(いわとまい) 

岩戸開きが無事終わった事を祝って、八百萬(やおよろず)の神々が天の岩窟(いわや)の前で喜んで舞う場面です。

 

一、神開(かんびらき) 

八百萬(やおよろず) の神々が天の岩戸開きを祝って、(あま)安河原(やすかわら)に集まり、和魂(にぎたま)を起こし給う形の舞です。

 

一、本剣(ほんつるぎ)(つるぎ) ) 

天照大神(あまてらすおおみかみ)が、弟神である素戔嗚尊(すさのおのみこと)の悪行に腹を立てて、天の岩戸にお 隠れになり、世の中が暗闇になったので、八百萬(やおよろず)の神々が集まり相談して、天の岩戸を開いて天照大神を連れ出したため、世の中が再び明るくなった。そのために、お祝いする剣の舞です。

 

 

一、鹿児弓(かごゆみ)

鹿児弓は、「武者(むしゃ)」又は「天之鹿児弓(あまのかごゆみ) 」ともいう。 日本の神話による天の岩戸が開かれ、天照大神(あまてらすおおみかみ)が連れ出されて再び世 の中が明るくなったのを八百萬(やおよろず)の神々が鹿狩(しかが)りに使う天之鹿児弓と天羽羽矢(あまのははや)を持ってお祝いに舞う神楽です。

 

 

一、柴入(しばいれ)榊花(さかきばな) ) 

天の岩戸開きも無事終わり、八百萬(やおよろず)の神々が、天の香具山(かぐやま)の榊を手にして喜び舞う舞です。

 

 

一、二草(ふたくさ) 

古代の日本は多くの小国に分かれていたが、一つの勢力が次第に大きくなり、近いところを手始めに統一の歩みを始めた。天照大神(あまてらすおおみかみ)は、これを征服するため八百萬(やおよろず)の神々に真弓と美剣を持たせ、葦原中津国(あしはらなかつくに)の邪神を平定する舞です。

 

 

一、五穀蒔(ごこくまき)

八百萬(やおよろず)の神々が、天狭田(あめのさなだ)・長田に植えた稲の豊穣を祝い、新米を天の岩戸の前に奉る舞です。

 

一、大蛇退治(おろちたいじ)

庄内神楽の最も得意とする勇壮な舞、大蛇退治(八雲払(やぐもばらい))は、綱伐(つなきり)蛇斬(じゃき)りを変曲・変舞(へんぶ)したものと言われています。 物語は、高天原(たかまがはら)神逐(かみやらい)(追放)された素戔嗚尊(すさのおのみこと)が、出雲の国()の川の上流で八岐(やまた)大蛇(おろち)を退治して、櫛稲田姫(くしいなだひめ)を助け八重雲(やえぐも)を切り払い新居の宮居(みやい)八重垣(やえがき)を作るというものです。 また、櫛稲田姫に付き添っている足摩乳(あしなづち)(足名椎)・手摩乳(てなづち)(手名椎)は、足や手となっての働きを意味し、櫛稲田姫の櫛は神秘力、すなわち魔除けの霊義、稲田姫は水田を生み出すの義といわれます。

 

一、返杯(へんぱい)

素戔嗚尊(すさのおのみこと)が根の国から帰ってくる(さま)の舞です。

 

一、心化(しんか) 

誓約(うけい)でお生まれになった男神五柱、女神三柱の男女の神が、その徳で人間を善に導くという趣意の舞です。

 

一、(かえ)()神使(かみつか)い)

国譲りの使いとして派遣された天若日子(あまのわかひこ)が、命令を果たして帰ってこないので、鳴女(なきめ)と云う(きじ)を遣わして天若日子に催促した。ところが、天若日子が雉を射殺(いころ)してしまった。 この射殺した天羽羽矢(あまのははや)高皇産霊尊(たかみむすびのみこと)の前に落ちてきた。高皇産霊尊は、その矢を突き返したところ、天羽羽矢が天若日子に命中したという神話の舞です。

 

一、国司(くにつかさ)

国司は、天皇位(てんおうい)天皇遣(てんこうけん)国主(こくしゅ)天御座(たかみくら)、俗称鯛釣(たいつ)りとも言う。 日本の神話における出雲地方のために降到(あまくだ)りする神話を題材とした舞です。高皇産霊尊(たかみむすびのみこと)経津主命(ふつぬしのみこと)武甕槌命(たけみかづちのみこと)を遣わし、大国主命(おおくにぬしのみこと)と国譲りについて談判(だんぱん)をし、大国主命は御子事代主命(おんこことしろぬしのみこと)と相談して国譲りを行う勇壮な舞であります。(この場合、仲裁の使者として鳥船命(とりふねのみこと)又は、稲背脛命(いなせはぎのみこと)というチャリが登場して道化役を演じている)

 

一、魔払(まばらい)

天照大神(あまてらすおおみかみ)八百萬(やおよろず)の神々に真弓と美剣を持たせ、中津国(なかつくに)の邪神を平定させるという舞です。

 

一、天孫降臨(てんそんこうりん)

天照大神(あまてらすおおみかみ)から三種の神器を授かり、瓊々杵尊(ににぎのみこと)が諸神を引き連れて、猿田彦命(さるたひこのみこと)の先導で中津国(なかつくに)に降りられる舞です。

 

一、太平楽(たいへいらく)

天孫降臨(てんそんこうりん)と云う大きな事業を無事成し遂げられたので、天下太平謳歌(おうか)して楽しみ合いながら舞う神楽です。

一、貴見城きけんじょう

)

古事記・海神宮(わだつのみや)・日本書紀・海幸山幸を題材としたもので、瓊々杵尊(ににぎのみこと)の子に火闌降命(ほのすそりのみこと)火酢芹尊(ほすせりのみこと))・彦火々出見命(ひこほほでみのみこと)という兄弟神の物語です。 二人はそれぞれが持っていた釣竿(つりざお)弓矢(ゆみや)を交換しました。弟神彦火々出見命が兄神火闌降命の釣竿で魚を釣っていたところ、釣鉤(つりばり)をとられてしまい別の釣鉤を作り兄神火闌降命に返したが、元の釣鉤返還強要に弱っているとき、海神(かいしん)の助けで海神宮(貴見城)を訪れ釣鉤を探し出すという舞です。

 

一、高座返(たかざがえ)

神楽の無事奉納を祝って舞い納める舞です。

 

一、日割(ひわり)

庄内神楽独特の舞です。阿蘇野系では「地割(じわり)」にあたります。 古代中国の易経の中から取題したもので、1年を360余日、東を木の神、南を火の神、西を金の神、北を水の神、中央を土の神の五柱の神、即ち春は木の神、夏は火の神、秋は金の神、冬は水の神に分け最後に各季から18日を分かち72日を土用として土の神に分かち与え、四季を五等分に日割りする暦作りの舞です。


一、綱伐(つなきり)

大蛇退治の原型の舞です。見所・聞所は、呪文(じゅもん)神文(しんもん)掛取(かけとり)・申し立て)にあります。神楽の基本ともいえる五方・五神・五色などが盛り込まれており、五穀豊穣・無病息災・家内安全などの祈願として奉納する神楽です。

 

 

 

一、布晒(ぬのさらし)

織女(おりめ)天八千千姫命(あまのやちぢひめのみこと)布晒(ぬのさら)しをする(さま)を、鳥船命(とりふねのみこと)(チャリ)が真似をして笑わせる舞です。鳥船命は猿ではないかとする説があるが、水神であったようである。能楽の間に狂言を演じるように、厳粛な神楽の間に入れたくつろぎの舞です。

 

一、五穀舞(ごこくまい)

保食神(うけもちのかみ)の死体から、稲・(あわ)・麦・豆・(ひえ)などの五穀や、牛・馬・(かいこ)などが生まれ、それを高天原(たかまがはら)に持ち帰り、(あめ)の田畑に種を()いたという神話の舞です。

 

一、大神(だいじん)

天孫降臨(てんそんこうりん)が無事終わったことを祝う舞いです。

 

一、綱之武(つなのたけ)

素戔嗚尊(すさのおのみこと)は、天照大神(あまてらすおおみかみ)の御田を荒らし、生馬の皮を()いで投げ込む等、数々の暴挙をつくされ、ついに大神(おおみかみ)の織らせ給う忌服屋(いみはたや)に押し入ろうとなされるのを、八百萬(やおよろず)神々(かみがみ)が織り給える布をもって防ぎ戦う形の舞です。